第31話 お嬢様、危機一髪!



 前回と比べるとずいぶん普通な今回のお話。
 ……………………。
 普通と思っていいですよね、あの展開は。(最近、自分の中の『普通』という概念がひどく信じられない今日この頃)
 テーマをあげるとすると、『セイザー的ローマの休日』そんな風に思いましたが。
 そんなわけで、今回のレビューです。


 車で移動中のお嬢さんと、付き人とというかマネージャーというかそんな感じのスーツ着たお兄さんと呼ぶには年齢に厳しいものがあるお兄さん。
 「先方の質問には全て私が答えますから」と、だからお嬢さんは何も喋るなと念を押すお兄さんの言葉に「はいはいわかってますよ」とばかりにお嬢さんがふてくされていた時でした。
 お嬢さんたちの乗る車の前に立ちふさがる――



 宇宙人。



 いやもう、これがどう見ても宇宙人。白昼堂々、道路のまん前に宇宙人。ラディアをちょっとだけ彷彿とさせるごついタイプの宇宙人です。
 運転席と助手席に居たSPらしき黒服が車から飛び出し、お嬢さんとお兄さんに逃げるよう警告を発して、果敢にも宇宙人に立ち向かいます。
 しかし、お嬢さんとお兄さんが車からそれほど離れない内に瞬殺。(そりゃまあ、宇宙人相手だしなぁ……)
 車からほとんどはなれてないんじゃ、あのふたりすぐ捕まっちゃうなぁ、ふたりを助け出すのが今回の主な目的かなぁ、とか思ってましたら。
 OPとCMが明けると、日本に来日して国防省の科学分析センターを視察していた18歳の天才物理学者、アヤ・ステイシーについて報じているTVが流れ、それを見ている御園木課長と堀口博士とスーツのお兄さん。お嬢さん(アヤ)の方は居ませんでしたが、逃げる途中はぐれただけで、ふたりとも無事逃げ出せたようですよ。



 これは逃げたふたりが凄いんでしょうか、逃がした宇宙人が阿呆なのでしょうか。



 お嬢さん――アヤは何でか知りませんが水晶板の欠片を持っているそうで、今回の来日は国防省の科学分析センター視察という名目で、水晶板を借り受けるためにアヤを呼び寄せ、そして起こってしまった宇宙人による襲撃でした。
 アヤが宇宙人に襲われ行方知れず、しかも元凶はある意味呼び寄せた国防省、引いては日本政府。そんなことが知られると国際問題に発展してしまうほど有名人のようです、アヤ。



 ・・・・・・・・・・・・?



 や、ちょっと待ってください。






 何でまだ外部に漏れてないんですか、宇宙人襲撃事件。





 そりゃあ、ずいぶん人通りのないとこ走ってるなって思いましたよ、あの車。
 でもそれだけ有名人なら色々取材の車とかついて回るんじゃないんですかー!? しかも事件が起こったの丑三つ時とかじゃなくて白昼堂々なのにー!?





 ……あぁ、腑に落ちない……
 とにかく秘密裏に、かつ、宇宙人が相手だということもあってアヤの探索にグランセイザーが立ち上がらねばならん状況のようです。



 その頃、休暇中の神谷は仁に合コンに連れて行かれる途中でした。……空は青いんですが、一体何時から始まるんでしょうか、その合コン。
 気乗りしない神谷が引きずられている途中、タクシーの運ちゃんと口論中のアヤと遭遇。どうやらアヤは一銭も持っていない状況でタクシーに乗ったらしく、付き人だか助手だかのお兄さんが払う、と言っても運ちゃんからすれば無賃乗車する為の言い訳にしか聞こえず。しまいには逆ギレぎみのアヤからなんとも微妙な発音の英語が飛び出したり。(国際性を表しているものと思われ)
 結局、逃げ出したアヤを神谷が追いかけ、取り残された仁は合コンの数合わせのため、今度は天馬を掻っ攫いに堀口博士の研究室へ行きます。

 伝通院先生は論外としても、剣は高校生だから無理だとしても、反町とか辰平とか松坂じゃダメだったんでしょうか?

 堀口博士の研究室内では、ちょうど、アヤの持っている水晶板の欠片が水晶板の欠けている位置にぴったり合いそうだ、という話をしている最中でした。そんなところにのこのこやってきた仁は、合コンキャンセルを強制され、アヤの探索に協力することが確定。

 憐れなヤツ……と思わなくもないですが、選んだ場所のまずさは自業自得なので、知らぬ間にパリコレに出品が間に合わなかったらしいことを知った時よりは同情しませんでしたが。

 「あんたも探すのよ」と突きつけられたアヤの写真を見て、仁は神谷が追いかけていった少女だと気付きます。

 さて、その頃アヤを家で少女と勘違いして「まずはちゃんとご両親と向き合って――」と説得状態の神谷の元に、アヤのことを知らせる電話が入ります。そして、携帯にでている隙にアヤに逃げられます。
 慌てて追いかけると、アヤの前に立ちふさがるエセシュワちゃんみたいな人物が。水晶板の欠片をよこせと言い出す輩は間違いなく宇宙人だと思うんですが、相手の姿が人間形態だったせいで、神谷も生身のまま立ち向かい歯が立たずに大ピンチ。
 そんな時、仲間のピンチに駆けつける天馬と仁。



 ひょっとしてセイザーの身体にはGPSが埋め込まれているんでしょうか。



 なんだっていつもこう、何の説明もなしに仲間のピンチに駆けつけられるんだとか言っちゃいけないお約束が脳裏をよぎるわけですが。

 駆けつけたものの、相手が中々変身しなかった為、天馬たちも変身するタイミングを逃してしまったのか、正体を現した宇宙人に逃げられます。
 一方、でっかいゴミ箱の中に隠れたりして宇宙人の追跡を逃れたアヤと神谷。



 っていうか、探索機能がついていそうなサングラスの演出はなんだったんですか、そこの宇宙人。(なんで気付けないんだ、不良品じゃないのか、それ)



 現状(周囲はIQ300の天才としてしか接してくれない)に不満を持ちつつ、結局その現状に依存しているアヤを甘ったれだと言いつつ、普通の少女としての時間を持てないアヤに同情した神谷は、アヤの希望を叶えるべく遊園地に繰り出し、乗り物乗ったり喰いもん食べたり、プリクラ撮ったり。
 神谷……休暇中で管轄区域が存在しなくなると、素晴らしいまでのフットワークの軽さです。
 可哀相なのは、神谷の行動により、ノーヒントでふたりを探す為街中を走り回ることになってしまった天馬と仁でしょうか。
 しかしついに、遊園地でデート状態のふたりの前に宇宙人が現れます。
 変身して襲い掛かってくる宇宙人に生身で立ち向かう神谷。






 いや、変身しろよ。






 人間形態でも歯が立たなかったのに、人間形態以上の力が発揮できるはずの宇宙人の正体を現した状態に敵うはずもなく、アヤの持っていた水晶板の欠片は破壊されてしまいました。
 その後、ノーヒントでも神谷たちの下に駆けつけた天馬、仁とともに、神谷は宇宙人を倒すことができました。(とどめは天馬でしたが)
 アヤの短い休暇は終わり、その日の内に帰国前の記者会見が行われます。(だって、みんな着てる服同じだし)



 帰国日に行方不明じゃ、そりゃ大変だよなぁ……



 とはいえ、記者会見まで行われるのに、誰もアヤに密着取材とかしてないってそういうことってあるもんなんでしょうか。
 堀口博士は水晶板の欠片が破壊されたことを悔やんでいますが、他のメンバーは「水晶板の欠片は他にあるかもしれないけど、アヤの命はひとつ、アヤが守れたからいいじゃないか」と楽観的。



 水晶板に填めこみられそうな状況を察するに、ひとつの欠片から追加で得られる情報はひとつだけという気もするんですが。






 そのひとつの情報が死活問題に関るものじゃなきゃいいねぇ……(生温い笑み)





 研究室のテレビで帰国記者会見の様子を見守る神谷は、剣に「見送りに行かなくていいの?」と問われ、アヤはひとりでもやっていけるからいいんだ、と答えます。短い休暇中、アヤに人は互いに支えあい、だからこそ一人で立てることが大事だと伝え、それが通じたことを感じ取っていた神谷。
 しかし神谷自身はそれで(見送りとかしなくて)いいのか、アヤの気持ちはどうなる、と仲間に諭され、また、TVで今日のこと、神谷のことを仄めかしつつ「大事なことを教えてくれた人に会う為にまた東京に来ます」と自分の言葉を述べたアヤをみて、神谷はアヤの見送りに行きました。



 どうやって調べたのか、アヤの車が空港に向かう途中のルート上にある横断歩道の上に立って。



 ……アヤが気付かなければ、本当に神谷が見送るだけになるところでしたが。
 アヤは車を止めさせ、車を降りて横断歩道橋上の神谷と視線を交わし――
 神谷が敬礼し、アヤも敬礼を返します。
 言葉を交わすことはなく、神谷は去っていく車を無言で見送るのでした。





 ちなみにやっぱりアヤにくっついていく取材陣の姿もなければ、そもそもアヤたちの乗る車と神谷以外人通りのない道路。







 なんですか、ひょっとしてレインボーブリッジ並に閉鎖されてるんですか、そこら一帯。





 そんなことができるとなると、そりゃあものすごいVIPだったんですね、アヤ。







 やったよ、神谷、逆玉の輿!(違)




 ところで、冒頭で儚くおなりになった黒服SPの死因について、遺族にどのような説明がなされたのか非常に気になりました。
 そういうところ、かなり投げっぱなしデスヨね。セイザー。








 あと、どうでもいいですけど。
 携帯が通じないならナックルライザーで連絡取っちゃダメなのか、非常事態。(神谷と連絡が取れなくなったときに)





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