第30話 ヴェルソー、暴走!



 セイザーを見る上で、外せないのがOPです。
 そらもう、やたら人数の多いグランセイザー。全員が揃うことなんて稀なわけですがOPのキャスト紹介でその回の登場キャラが全て暴露されていることは周知の事実何だかどうだか。
 今回、タイトルから涼子メインの話であることは間違いなのですが、風のトライブの人がメインというだけあって久々に御大(伝通院)のご登場です。
 天才外科医、今回はどんなミラクルを見せてくれるのか……期待に胸を膨らませつつ、今回のレビューです。


 いきなり登場は、親類か友人の結婚式にでも出席するような格好の涼子。「これ、いいじゃない」と服を着ている褒めると「涼子さんに褒められたの、初めてかも」と素直に喜ぶ仁が映ります。あと、なぜかその場にいる天馬。場所は仁の仕事場のようです。
 どうやら涼子は大学時代のサークル仲間との同窓会に出席する為に着て行く服を仁に作らせていたようです。そしてきっと嬉々としてそれを引き受けたに違いない仁は、絶対涼子からお金は取っていないものと推察されます。
 ……しかしですね。



 仁の背後に作り途中のウェディングドレスが見えるのは気のせいですか。



 ――ウェディングドレスまで手がけてるのか……幅広いな、さすがパリコレデザイナー。

 しかし、試着もひと段落したところでその服を着たままお茶を飲んでいる涼子(in 仁の仕事場)の耳に、ラジオが伝える小型機墜落事故の訃報が届きます。死亡したパイロットは同窓会で再会するはずの仲間の一人、川島 巧でした。

 その頃、どういった経路で発見されたんだかまったく不明卵形をしたアボガドみたいなオーパーツ、マッドストーンが、惑星を破壊する爆弾かもしれないということで、マッドストーンを研究中のカヌマ博士のいる研究室らしき建物の周囲を国防省の特殊部隊が警護していました。
 しかしあっさり忍び込んでいた宇宙人は、卵型アボガド……もとい、マッドストーンを研究中のカヌマ博士を襲い……なんだろ、乗り移った……? まあ、ただひとついえるのは相変わらず特殊部隊が役に立っていないというコトですが。
 カヌマ博士は科学者だけど宇宙考古学者にも一目置かれる存在なんだ、と堀口博士が未加に説明していると研究室に天馬がやってきます。
 涼子のサークル仲間がなくなった、という情報を伝えると、堀口博士は涼子がNGOの活動に参加していたサークルに所属していた事を教え、だからチャリティとかにも積極的なんだと言います。



 ……その設定、今初めて知ったんですがいつ頃から設定されていた設定なんでしょうか。



 ……仁のパリコレといい、伝通院先生のいつのまにかカリンを愛していた設定といい、風のトライブはある日突然設定が追加されますなぁ……何の前フリもなく。

 サークル仲間、巧の事故現場だか自宅だかに向かおうとする涼子と、そんな状態で運転なんてさせられない、と涼子を送ろうとする仁の前に屍人を彷彿とさせるような足取りで近付く一人の男性が。その男性を見た涼子の動きが止まります。「……巧」と涼子が呟いた瞬間、白目をむいて後ろに倒れ込む巧。






 ……え、今回、ホラーなんですか?(真顔)
  (白目、むっちゃ怖いんですけど……!)






 その後、倒れた巧は速攻で病院(もちろん、伝通院先生の職場)に運ばれたらしく、なぜか緑の光を浴びつつベッドに横たわっています。
 巧が目を覚ますと、そこには涼子、仁、そして伝通院先生が。



 先生、この真緑のライトは一体。



 しかし伝通院先生はもとより誰も緑のライトの不自然さが気にならないようでやけに緑色のまま会話が続きます。
 どうやら、記憶喪失らしい巧。しかし神谷が確認を取ったところ、確かに巧の死体は一度発見され、その後死体が消えてしまったといいます。
 どういうことだ、と頭を捻りつつ、涼子に慮ってか病室には涼子と巧の二人だけにして、病院の屋上で伝通院先生は自分が知っている涼子のことを話します。
 曰く――3年前、涼子は巧に誘われ、サークル仲間たちとアフリカで慈善活動をしようとしていた矢先、カリンに出会ってセイザーとして目覚めてしまったばかりに、仲間たちの待つ港に行くことができず、結果仲間を裏切ることになったことをずっと気にしていたのだそうです。



 そうか、涼子もセイザーのせいで人生を狂わされた人だったんですね……。



 ……ところで。




 怪しいと思っているくせに、そんな人と涼子を二人っきりにした挙句、なにか起きてもすぐさま駆けつけられないようなトコにいるなよとかそれ以前に。







 伝通院先生、お仕事の方は?






 先生、あんた医者……。
 これはあれでしょうか、患者さんもセイザーのせいで自分の運命っつーか生命を微妙に狂わされてるといっても過言ではなし?

 さて、涼子の方でも(未だ記憶は戻っていないはずですが)3年前のことを話し、「行けなかった理由は話せないけど」と前置きして謝ります。しかし、そんな涼子に「俺は川島巧ではない」と言い出す巧に被さるように浮かび上がる宇宙人の姿。
 そして突然姿をくらましたらしく、激しい物音に駆けつけた男衆3人と涼子は病院中を探し回ります。涼子が仁の叫び声を聞いて地下駐車場に行くと、大の字になって倒れている仁とそれを見下ろす巧。
 巧に、仁の命が惜しければマッドストーンを1時間以内に持って来い、と言われた涼子は渋々マッドストーンを取りにカヌマ博士の研究所に急ぎます。
 そこはもちろん、国防省が厳戒態勢を敷いているわけですが、涼子は「緊急事態なの、詳しく話している暇はない」と有無を言わさず、変身までして通り抜けマッドストーンを強奪します。
 堀口博士は御園木課長からこの件の連絡を受け、その場に居合わせた天馬が憤りもあらわに「俺がとっつかまえてやる」と研究室を飛び出し、(仁の)車で病院へと急いで戻る途中の涼子の前に立ちふさがりますが、仁が人質にとらわれていることを知らされ、比較的あっさり涼子を追う特殊部隊の妨害に回ります。さすがに天馬は変身まではしてなかったので、あっさり特殊部隊に押さえられますが。



 つか、そんなに急いでいるならそれこそ変身して、宇宙人並の高速移動(光の球状になって空を行く)をすればいいんじゃ……?



 涼子がマッドストーンを手に病院の地下駐車場に戻り、まずは仁を開放させます。天馬からマッドストーンが爆弾だと聞かされていたため、本来は何があってもマッドストーンを渡すつもりはなかったと思われる涼子ですが、巧が完全に死んでいること(乗り移っている宇宙人と衝突したのがそもそもの事故原因)、宇宙人と巧、二人が互いに命を補い合う形で辛うじて動けているだけなのだと知らされ、やはり巧には二度と会えないという事実に打ちのめされている間に、マッドストーンは巧の手に渡ります。
 しかしどうもこの場で爆発させる気配のない巧。そこにカヌマ博士に乗り移った方の宇宙人まで現れます。っていうか、最初、カヌマ博士を襲ったときにすでに博士の事は殺っちゃってるらしく、なんだか扱いがぞんざいですな、博士。
 博士の身体を使用している方の宇宙人(以下、博士)は、巧の身体を使っている宇宙人(以下、巧)を殺す為に追いかけていたらしく、巧はむしろマッドストーンで地球を破壊させない為に動いていたようです。
 それにしてもですね、博士の方は地球の破壊がウォフマナフの意向だと言ってましたが。



 人類を消滅させたいのか地球そのものを消滅させたいのか、はっきりして下さいませんか、ウォフマナフの皆様。



 結局、一番の敵は博士の方だった、ということで未だ目覚めない仁を置き去りに涼子はヴェルソーに変身して正体を現した宇宙人と対峙します。
 おきざりにされた仁は、あとで神谷がちゃんと回収――もとい、助けてくれてましたよ。仁は「涼子さんが助けてくれたんじゃないのか」と愚痴ってましたが。涼子に助けられるほうがサマになっていないと気付いていないようです。

 一旦、ピンチになった涼子を特殊部隊から解放されたらしい天馬が間一髪のところで助けます。そして天馬が宇宙人を倒すまでいつの間にか変身が解けていた涼子やってきても涼子を助け起こすだけだった伝通院先生は極普通に観戦モード。



 先生、涼子はともかく、なんであんたまでただ見てるだけ。



 宇宙人を倒した後、巧に変化が起こります。博士の攻撃を受けて倒れていた巧に声をかけた涼子に、身体を使用している宇宙人ではなく、巧本人が応えたのです。
 どういうことだ、と見守る天馬に伝通院先生ははっきりと断言しました。





伝通院 「奇跡が起こったんだ」(なんの躊躇いもなく)

天馬 「はあ?(ごっつ怪訝そうな顔)











 いや、ホント「はあ?」だよ。貴方の発言のほうが奇跡だよ伝通院先生……!










 天馬、仁、伝通院先生、神谷が遠巻きに見守る中、再会を果たした涼子と巧。3年前のことをずっと気にしていた涼子に、巧は「今でも俺たちは仲間だ」と迷いなく言い切ります。3年前、進む道を見失っていた涼子に光を与えてくれた巧。巧に勇気をくれた涼子。
 しかし別れの時はすぐにやってきました。すでに燃えつきかけていた命に残り時間はほとんどありませんでした。
 巧の身体を使用していた宇宙人も正体を現し、涼子に「貴方の事は忘れない」と言い残してマッドストーンとともに宇宙へと飛び立って行きました。遠い宇宙のどこか周りに被害の及ばない場所で、マッドストーンを爆発させるために。
 博士の身体を使用していた宇宙人と同じような外見ながら、それでも一目で彼は善い宇宙人だと確信させるものがありました。きっと、なまじ巧の身体でいない方が(視聴者的には)彼が味方だとわかってよかったのではないでしょうか。




 だって瞳がものすっごい、つぶら。




 なんなんでしょうか、あの、つぶらっぷり。

 かくして、夜空を見上げる涼子のもとに、まるで宇宙で散った欠片が降りそそぐように、桜の花びらが舞い散るのでした。





 近隣に桜の木、全然見えなかったけど。





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